コラム

世界の子どもたち「バンコク」

写真・文 中西あゆみ

あそびのもり 2016年 44号より

着陸寸前に空から見えるバンコクの街並みは区画整理がされ整然としています。常夏の国の首都は、乾季の時期に日差しが強く、光化学スモッグで真っ白の空に高層ビルがそびえ立っています。通りには露天がひしめき合っています。地下鉄やスカイトレインなど交通機関は充実していますが、渋滞が日常茶飯事です。

多くの国民から敬愛されるプミポン国王の写真が街のいたるところに飾られています。敬虔な仏教国であるこの国では国民の9割以上が上座部仏教を信仰し、歴史ある寺が街中にあり、信者が熱心にお祈りをする姿を日常的に目にします。子どもの修行僧も多く存在します。

バンコク都庁前広場では新年を祝うライトアップが施され、平日の夜も多くの市民が集っていた。音楽に合わせて踊る子どもたちの後ろにはプミポン国王の写真もライトアップされていた。

メラルド寺院(通称ワット・プラケオ)で熱心に祈りを捧げる親子。バンコクの寺院では色とりどりの花やフルーツ、食べ物などが供えられているが、訪問客は蓮の花のつぼみを供えて祈りを捧げる。

庶民の足、フェリーでチャオ・プラヤー川を北上する。帰宅ラッシュの夕方は仕事帰りの人々で混み合っている。少年修行僧も家路につく。

バンコクは開放的な場所でもあり、外国人観光客で溢れ、在住する人種も多様で複数の言語が飛び交っています。チャイナタウン、アラブ人街などが存在し、多宗教と異文化が共存しています。また、LGBTの人々に対して寛容なこの街では、皆違和感なく多様な職に就いています。

  • レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー

スリーピング・ブッダのいるワット・ポー寺院は、平日の昼間も観光客で賑わっている。

スカイトレインの各駅に直結するショッピングセンターは、どこも夕方と週末に賑わいます。日中の暑さをしのぐため、屋内エンターテイメントが人気だそうです。常夏のバンコクで半袖のままスケートを楽しむ人々を見るのは不思議な感覚です。子どもの施設もスーパーやモール内にあります。

常夏のバンコクではアイススケートが大人気。多くのショッピングセンター内にあり、買い物中にスケートを楽しむことができる。週末にはたくさんの親子連れが訪れる。The Rink @ Central World/ 一時間220バーツ(約700円)

美しく整備されたベンジャリシリ公園には、少し涼しくなる16時頃からたくさんの親子連れが訪れる。週末の午後、盛大に子どものお誕生日会を催す家族。

ナーナー駅からプルンチット駅までの歩道は夕方以降「ナイトマーケット」で完全に埋まる。ストリートは毎晩遅くまで地元の人や観光客で溢れ返る。子連れで店に立つ露天店主も少なくない。

物価は安くありません。人々の裕福な暮らしが垣間見える反面、厳しい状況に置かれた人たちもいます。飲食街やマーケット周辺では、ストリートキッズや幼い子どもを抱えた親が路上で物乞いをする姿が見られます。めざましい経済成長と共に人種の坩堝(るつぼ)となったバンコクには、激しい格差社会が存在しています。タイは学歴社会であり就学率は年々推移し、識字率も9割を超えていますが、子どもの教育に熱心かどうかは家庭の豊かさと比例しています。

通行人の多いナーナー駅近くの路上ですっかり寝込んでいる親子。子どもは哺乳瓶を半分くわえたまま。横には子犬が一緒に眠っていた。

タイでは長年、クーデターとデモをくり返し不安定な状況が続いてきました。2010年の反政府デモでは参加した10万人規模の市民らに政府軍が発砲。多くが命を落としました。平穏さと活気が戻った現在、ハイテクと多人種で賑わうこの街で、未来への大きな可能性と深刻な今後の課題の両方が見え隠れしています。

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