「できた!」と大喜びする子どもの笑顔。パズル遊びの楽しさは、型にはめることのほか、色や形、動物や乗りものの名前を遊びながら覚え、想像の世界を行き来きしながら、友だちや家族と会話しながら、好奇心や学びを自在に広げられることにあります。
フランス東部の工房から届いたパズル・ミシェル・ウィルソン社のパズルは、なんでも機械化された便利な現代社会で、今でも手作業でのカットにこだわっています。
その世界は、均一でない面白さ、創り上げる楽しさ、美しさに触れる喜びをあらためて気づかせてくれます。
1975年、南フランス出身の女性ミシェル・ウィルソンが、高級老舗パズルメーカーでの経験をもとに「もっと個性的で芸術的なパズルをつくりたい!」と一念発起し起業。パリに路面店、南フランスに工場をつくり、現在では高級玩具店や美術館などでも販売しています。著名な画家や絵本作家の作品をモチーフに、高い感性と技術でつくりあげるパズルは、フランス国内のみならずヨーロッパの人々を魅了します。
パリ市内に3店舗。店内では実際にカットする様子も見られる。
ジグソーパズルの語源「糸のこぎり=Jigsaw」を使い、1ピース1ピース手作業で、息を吹き込むように丁寧なカットラインにこだわっています。絵柄と関係なく機械で自動的にカットする一般的なパズルよりも、境目が目立たず、立体的に表現の強弱が生まれ、美しい佇まい・仕上がりになります。
職人のほとんどが大学で木工技術を専攻し、入社した後は2年間カッティングの訓練を積みます。手作業で下書きなく経験と感性を頼りにカットしていく様子は、まるで即興音楽を奏でるよう。それらのピースが集まり完成したパズル1つ1つは、世界に1点しかない芸術作品のようです。
フランスで製造しユニークな技術をもつ企業に与えられるフランス政府公認「EPV」ラベル。技術力があり、1分野で1企業とその希少性高いラベルをパズルメーカーで唯一取得しています。また、環境に配慮したポプラ材を使用などの環境保護、そのほか専門技術に関するラベルも多数取得しています。
ジグソーパズルの起源で知られるのは、1760年頃イギリス・ロンドンの彫刻師・地図製作者ジョン・スピルスベリー氏が、1枚の地図を板に張り付け国境の境界線に沿ってカットしたもの。当時は教育現場で使う地理の教材でした。やがて踏み板式のこぎりが開発されより複雑なカットが可能に。現在よくみるパズルです。
そのような背景から、日本とヨーロッパではパズル遊びにも大きな文化の違いがみえます。日本では一度完成させたらフレームに入れて飾りますが、ヨーロッパではくり返し遊ぶものとして普及。一人で、友だちや家族とくり返し楽しむためのあそび道具だからこそ、パズル・ミシェル・ウィルソン社はあきのこない美しいデザイン、高い品質のパズルをつくり続けています。