メーカー紹介
創造性を育むクーゲルバーン(玉転がし)「カデン・カデン社」
あそびのもり 2017年 49号より
ドイツの伝統的な木工技術に根ざしている
カデン・カデン社は、1992年に父親のゲルト・カデンさんと息子のマティアス・カデンさんが創業した遊具メーカー。ドイツ東部のエルツ地方の小さな村、ノイハウゼンにあります。クリスマスに飾る木製の工芸品で有名なザイフェンは隣町で、工房もたくさんあります。
ドイツのノイハウゼンにある、カデン・カデン社。
社屋内のショールーム。
ゲルトさんは、父親がその工芸品をつくる職人だったので、幼少期から木工に触れて育ち、大学ではプロダクトデザインを学びました。そして、それらの経験をもとに、クーゲルバーン(玉転がし)を開発しました。ドイツの伝統的な工芸技術が反映されていて、素材や玉の大きさなど、さまざまな工夫が凝らされています。
現在は、息子のマティアスさんと一緒に新商品の開発を行っています。工房のメンバーはゲルトさん、マティアスさん夫婦と職人の4人。お客様の求める声に丁寧に対応していくためには、家族で経営できる規模を保つことが重要だと考えているそうです。
ゲルトさん。
マティアスさん。
発想の源は大学の卒業制作だった
クーゲルバーンの着想の素になったのは、1973年にゲルトさんが手がけた大学の卒業制作でした。「直線と1/4円弧のシンプルな模様で構成された、壁の装飾品として木製のタイルをつくりました。これを平置きにしたり、縦に置いたりして立体的に使うことで玉転がしのあそびができるのではないかと思いつき、実験をくり返してアイデアを膨らませていきました」。
その後、1977年にドレスデンで芸術博覧会が開かれたときに、地域の芸術組合の会員だったゲルトさんは、政府から子どものあそび場の制作を依頼され、そこで初めてクーゲルバーンを発表しました。
遊具を開発するうえで大事にしていることは、「自然素材であること、シンプルに遊べること。それが子どもの創造性を育むのです」と話すゲルトさん。上質で豊かな遊具を子どもたちに届けるために日々、取り組んでいます。
いろいろな工具が並ぶ工房。
地元の幼稚園でもクーゲルバーンが導入されています。先生と対話をするなかから新商品のアイデアが見つかることも。