MAGAZINE

「親子ニューロパーソナリティ入門」vol.05

公園から連れて
帰ることに、
毎回苦労しています

#子育て#親子ニューロ

お話を
聞いた方

林愛理さん

日本脳波トレーニング協会理事長、株式会社NFBスタジオ横浜代表。大学にて児童心理学を学び、在学中から国内外にてニューロフィードバック、定量脳波解析の臨床、研究を行う。2015年NFBスタジオ横浜を設立。認知症予防やアスリートのサポートを行う。現在、ボーネルンドと共に、ニューロパーソナリティとあそびについての実証研究を進めている。

権上美季さん

臨床心理士/公認心理師。NFBスタジオ横浜では、心理学と脳波解析を融合させた「心と脳の両面からのアプローチ」に10年以上従事し、子どもから大人まで、一人ひとりの心に寄り添う伴走者として活動中。

夢中になるとテコでも動かず、帰るときは毎回修羅場に

親子ニューロパーソナリティ入門」、今回は「あそび」についての親子のすれ違いをニューロの視点から解決するケーススタディをお届けします。
今回は、公園から帰りたがらないお子さんについてのお悩みです。

「公園が大好きで、夢中になって遊び続ける息子。『夕方の音楽が聞こえたら帰ろうね』と事前にお約束してみたり、『おうちにおやつがあるよ』と気を引いてみたりするのですが、なかなか遊びをやめられず、毎回泣いてしまう息子をなだめながら帰ることになります。その時間がとてもつらくて、最近は公園に行くこと自体が少ししんどく感じるようになってきました。」(3歳男の子の母)

あそびに夢中になるとなかなかやめられない子どもはよく見られますが、親御さんが公園嫌いになるほど毎回苦労しているなら、お子さんは夢中になると気持ちの切り替えが難しくなるタイプなのでしょう。こういったお子さんは、感覚情報を統合する「頭頂葉」が優位だと推察できます。頭頂葉は皮膚感覚や筋肉神経の感覚と関わっているため、ここが優位なお子さんは見たり触ったり試したりといった行動に没頭しやすく、興味があるものに対して高い集中力を発揮しやすいため、一度夢中になると途中で中断することがとても難しいのです。

終わりの時間が決まっているなら、まず最初に関わりを持って「時間内に終わらせることができるか」を一緒に見通すことが大切です。「何を作りたいのか」「どんな風に遊びたいのか」を確認し、時間内に終わらないような他のことを提案し、始めてみる。没頭を途中でやめることは苦手なのですが、やり始める前なら気持ちの切り替えも比較的スムーズに進むでしょう。

「頭頂葉型」のお子さんは、空間認知力や運動神経が高い傾向が見られ、アスリートにも多いタイプです。夢中になる体験を小さい頃からたくさん重ねることは、子どもの成長や幸福感(ウェルビーイング)につながります。休日などにはできる限り制限なく、本人の気が済むまで遊ばせてあげられるといいですね。ぜひ親子で一緒に夢中になって楽しんでみてください。