MAGAZINEあそびのもり


#子育て#親子ニューロ

お話を
聞いた方
林愛理さん
日本脳波トレーニング協会理事長、株式会社NFBスタジオ横浜代表。大学にて児童心理学を学び、在学中から国内外にてニューロフィードバック、定量脳波解析の臨床、研究を行う。2015年NFBスタジオ横浜を設立。認知症予防やアスリートのサポートを行う。現在、ボーネルンドと共に、ニューロパーソナリティとあそびについての実証研究を進めている。
権上美季さん
臨床心理士/公認心理師。NFBスタジオ横浜では、心理学と脳波解析を融合させた「心と脳の両面からのアプローチ」に10年以上従事し、子どもから大人まで、一人ひとりの心に寄り添う伴走者として活動中。
「親子ニューロパーソナリティ入門」、今回は「あそび」についての親子のすれ違いをニューロの視点から解決するケーススタディをお届けします。
今回は、アートやクラフトあそびでの、こんなお悩みです。
「クラフトあそびを楽しんでほしくて、画材や素材の種類を豊富に、量もできるだけたっぷり準備しているのに、子どもはガイドやお手本に頼って、素材も同じようなものばかり選んでいます」(4歳女の子の母)
お母さんは、ふと視界に入った人の服の柄に気を取られたり、書店ではタイトルや作家の名前ではなく表紙のビジュアルが気になった本を手に取るなど、ぱっと目にした画像からさまざまな情報を得る傾向がありませんか?このように、視覚情報をつかさどる「後頭葉」が優位に働く人は、視覚から入る情報のほうが処理しやすく、「言葉」ではなく「イメージ」が先に浮かびます。色や形を使ったあそびや、創造的な活動を好むので、お子さんにもクラフトあそびを楽しんでほしいと感じられるのだと思います。
一方で、お手本どおりに作りたいお子さんは、思考・計画・実行機能に関わる「前頭葉」が優位なタイプだと推察できます。前頭葉タイプは、物事を筋道立てて考えるのが得意。創造力を膨らませることよりも目的に向かって行動していくお子さんが多いです。
アイデアにあふれるお母さんは、そんなお子さんの作品を「見本どおりでつまらない」と感じるかもしれませんが、計画を立てて、ゴールに向かって物事をしっかりと進めていくのが好きなお子さんにとっては、ガイドどおりに制作することこそが、心地良いあそび。たくさんの素材を与えられて「さあ、自由な発想で好きなものを作って!」と言われても、かえってどうしたらよいかわからなくなってしまいます。
こういったタイプのお子さんには、準備する素材はできるだけシンプルに、量も絞ってあげてみてください。そのかわり、ガイドやお手本を多様に準備してみましょう。お子さんは目を輝かせて次々と好きなお手本を選び、さまざまな作品づくりに挑戦するはずです。
自分と子どもが同じタイプとは限りません。子どもも親も、ひとり一人個性や特性を理解することで、親子がお互いもっと楽しくすごせますように。