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自分の「好き」をとことん貫こう!③

好きなことばかりだと
我慢ができない子になる?

#探究学習#利他#あそび

『自分の「好き」を見つけ、わくわくと夢中になる喜び。その大切さを実感する一方で、「好き」を貫くことが、ときとして「自分勝手」「わがまま」と捉えられることも。
自分の好きを追究する「利己」は、他者の利益を願う「利他」と共存できるのでしょうか。
探究学習研究の第一人者である苫野一徳先生にお話を伺いました。

苫野一徳先生哲学者・教育学者/熊本大学大学院教育学部准教授

早稲田大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。経済産業省「産業構造審議会」委員、熊本市教育委員のほか全国の自治体や学校でアドバイザーを歴任。著書に「親子で哲学対話」ほか多数。2児の父。

早稲田大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。経済産業省「産業構造審議会」委員、熊本市教育委員のほか全国の自治体や学校でアドバイザーを歴任。著書に「親子で哲学対話」ほか多数。2児の父。

夢中になることで育つ「能動的忍耐」が生きる上での大きな力に

さて、好きなことばかりをやっていると、我慢ができない子になるのではないか、というのもよく聞かれる話です。我慢ときいて私たちが思い浮かべるのは、嫌なことでも歯を食いしばり、まるで亀が甲羅に閉じこもるようにやり過ごす姿勢です。これを私は「受動的忍耐」と呼んでいます。でもこれには限界があります。なにより、一方的に与えられた嫌なことをただ耐え忍ぶだけで、自分では何も問題解決しようとしていません。自発的な目標がないため、どこかで心が折れてしまう可能性もあります。
一方で「能動的忍耐」は、自分がやりたいことのために我慢強くやり抜く姿勢です。たとえば、恐竜が大好きで、もっと知りたいという気持ちから難しい漢字も覚えて本を読もうとする。能動的忍耐では、少々ではへこたれない、しなやかな我慢強さが育まれます。この先、生きていく上で大きな力になる、強い忍耐力です。

そして、この理想的な忍耐力をどう身につけるかというと、やはり探究心、つまり夢中になって遊ぶことなのです。好きなあそびに夢中になる過程で、失敗しても「次こそは」と挑戦し、「もっとこうしてみよう」と工夫を凝らします。砂場遊びでもおままごとでも、お絵描きでも、なんでもいい。あそびの自己選択、自己決定を肯定しましょう。夢中になって楽しむことで、他者を認める気持ちも育まれ、結果的に自分も他人もしあわせな社会となっていけるのだと思います。