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教育先進国・フィンランドの学びの現場から①

自分は何をしている時が
しあわせか。
保育園の頃から
それを探します

#フィンランド#探究学習

『World Happiness Report』では8年連続で幸福度世界一に輝くフィンランド。
40年近く前から詰め込み教育を排除し、全国の小中学校で探究型学習を取り入れています。
教科の自由度が高く、先生によってさまざまに創造的な授業が行われている様子をフィンランド教育・福祉スペシャリストのヒルトゥネン久美子さんに聞きました。

ヒルトゥネン久美子氏フィンランド教育/福祉スペシャリスト

フィンランド在住32年。教育、保育、福祉分野を専門とし、通訳、視察、プロジェクトコーディネーターとして日本の研究者や教育関係者にフィンランド視察研究をコーディネート。オンラインセミナーや講座も多数。

フィンランド在住32年。教育、保育、福祉分野を専門とし、通訳、視察、プロジェクトコーディネーターとして日本の研究者や教育関係者にフィンランド視察研究をコーディネート。オンラインセミナーや講座も多数。

自分は何をしている時が幸せか。
保育園の頃からそれを探します

フィンランドでは、自己理解、そして他者理解についての学びが保育園から始まっていて、3歳頃から「自分がどういう状態だと幸せか」を見つけていきます。どういう時に安心して幸せな気分で過ごせるか、どういう時に不安になって怖くなったりパニックになったりするか。それを、みんなで探すのです。
例えば、「ニコニコしちゃうのはどんな時?」として、スパゲティが好き、サッカーが好き、水泳が好きなど「好き」を探したり、「悲しくなったり泣きたくなった時に、どんな風にすると笑顔が戻ってくる?」を絵に描いたりします。
そしてお互いのカードを見ながら、〇〇ちゃんはこういう時に悲しくなっちゃうんだとか、人ってそれぞれ感情が違うんだなっていうことに気づいていきます。
なので「こんなことで泣いちゃうなんて弱虫だ、おかしいよ」なんてことには決してならない。みんなが違うということ、つまり多様性についての学びが、保育園からすでに始まっているんですね。

保育園でのあそび。真ん中のグリーンのまわりには黄色、さらにその外側は赤くなっていて、「安心」から「苦手」へのグラデーションをあらわしています。例えば動き回るのが大好きな子どもは「順番に並ぶ」というカードを黄色に置いたり、給食が大好きな子どもは「残さずに食べられる」というカードを真ん中に。子どもは本当に正直で、自分のことをよく分かってます。それを写真に撮って保護者に見せると、全然見え方が違うこともよくあります。

家庭でも、大切なのは自分の気持ち。

家庭での子育てで日本とは違うなと感じるのは、どんな小さな子にもとうとうと話をして聞かせることです。1〜2歳の子でも、例えば物を投げちゃったとか、お友達の手に噛みついちゃったなど何かトラブルを起こしたら、日本だとまず「ダメでしょ」と制止して、「お友達にごめんなさいって言いなさい!」と謝らせて終わることが多いかもしれません。そんな時フィンランドでは「なぜそういう気持ちになったのか」ということを、ずっと話すのです。
子どもが泣き叫んで話せないような状況でも、おさまるまで待ちます。まだ1〜2歳でも、パパやママがどんな気持ちになったかを伝える。「いつも優しいお友達なのにどうして噛んだの、ママもびっくりしたよ」と。「思わず噛みたくなっちゃったのには何か原因があったんだよね、何だったんだろう、でもお友達もきっと痛かったよね」。そうやって客観的にその状況を話していくわけです。
「その子にすごくイラつくこと言われたんだ。だから噛んでしまったの」かもしれないし、「我慢していたけれど、限界がきちゃった」のかもしれません。「じゃあ今度は、気持ちが爆発する前にこうしてみよう」など、その子が悪者にならないための方法を一緒に考えます。そこにもちょっとあそび心が入っていて、2回やったらイエローカード、3回になったら赤のカードを出して大人のところへ走って逃げていこう、とか。そうやってどうやったら危険から自分を守るか。そんな話をしていきます。
私も最初の頃は、こんな小さな子に言ってもわかるんだろうか、と思っていました。でも自分で考えさせるんですよね、自分の感情を常に見つめる。これは保育園や小学校で先生がやっていることと、とても似ています。